開催展望
熊本競輪の大阪・関西万博協賛開設74周年記念GⅢ「火の国杯争奪戦」が東西の強豪を迎え、3日から6日までの4日間開催される。SS班4人をはじめ参加メンバーは豪華版。リスタート後、生まれ変わった新走路で行われるGⅢで地元勢が燃えないわけがない。本紙は嘉永泰斗(26=熊本)をイチ推しする。大挙11人が参加する地元勢。嘉永を中心に、さぁ結束力を高めるときがきた。なお、出場選手は変更の場合あり。
譲れない地元の庭。SS班を押しのけ嘉永泰斗が大きく存在を誇示する。8年4カ月ぶりにリスタートを切った7月のFⅠ(20日~22日)は記憶に新しい。生まれ変わったメインスタンドに詰めかけたファンの前で雄叫びをあげたのが嘉永だった。
しぶとく決勝に進出した緒方将樹が果敢に先行。外を迫る北井佑季の動きを見極めた嘉永はこん身の番手捲りを決め、執念で新走路初代のウイナーに輝いた。このところのグレードレースでは苦戦を強いられている嘉永だが、地元GⅢとなると話は別。「GⅠと同じように地元記念は気持ちが高ぶる」。ライフワークともいえるホームバンクのGⅢに万全の状態で挑む。
過去8回の「火の国杯」のうち中川誠一郎が3V。昨年は中本匠栄が涙のGⅢ初Vを飾った。嘉永は3年前の71周年でGⅢ初のファイナルに進出。年齢も実績も上の北津留翼に前を任せ番手捲りを決め、初の記念タイトルを手にしている。以来、GⅠ常連にまで成長。昨年はGⅡウイナーズカップ(別府)、GⅡ共同通信社杯(青森)で決勝に進出するなど初タイトルの期待が高まる。御大中川をはじめ中本ら11人が集う地元の精鋭たち。その中心点を形成するのが嘉永だ。
7月20日に8年4カ月ぶりに再開した熊本競輪。震災後、16年の66周年から昨年の73周年まで久留米競輪場で代替開催された「火の国杯争奪戦」は武田豊樹が優勝した15年の65周年以来、9年ぶりの本場開催となる。
共同通信社杯(宇都宮)の3日目に落車した清水裕友が欠場。代わりに松浦悠士が追加参戦。SS班4人を筆頭に豪華版だ。さらに1班にも成田和也、郡司浩平ら輪界を代表する実力者が顔を並べる。
Vの行方は混とん。脇本雄太が圧倒するのか、復活松浦が存在感を示すのか。それとも深谷知広、山口拳矢が一撃を見舞うのか。いや、11人が参加する地元熊本勢が猛然と立ちはだかる。
折り合いは今のところ微妙だが、3年前の71周年以来2度目の地元記念Vを目指すニューリーダーの嘉永泰斗を軸に勝ち上がり段階から結束力を生かした陣容ができあがることだろう。競輪はラインがモノを言う。地元記念3Vを誇る中川誠一郎、前回覇者の中本匠栄、さらに瓜生崇智、松本秀之介ら地元は役者ぞろい。より固い絆で結ばれるスクラムで強力な別線勢を打破する。
そうはさせじとSS班が意地を見せるのか。パワー最上位の脇本雄太は堂々のV候補。9月向日町以来、17度目の記念Vをもぎとるシーンも思い浮かぶ。3月のウィナーズC(取手)の落車後、低空飛行を続けた松浦は直前の岐阜GⅢを制し軌道修正。過去、何度も連係している町田太我の攻めを足場に急浮上を果たす。深谷知広も差はない。今年の全日本選抜(岐阜)を制しSS班返り咲きを決めている郡司との連係は見もの。しぶとい内藤秀久もライン参加。南関勢が脅威だ。
一発をもくろむ山口拳矢。ムラ駆けながらもつれる流れになるとシャープな捲りが飛び出す。ただ、ライン戦ともなると中部勢は劣勢の感が否めない。北日本も職人・成田、差し脚好調な渡部幸訓らがV争いに加わる。とくに成田の俊敏さばきは見もの。関東から坂井洋が名乗りを上げる。上位にもスピード負けすることはない。自分のタイミングでかまし、捲りに持ち込めると好勝負だ。
【★新走路特徴】
〝滑走路〟と呼ばれた500走路は姿を消し、直線のみなし距離60・3㍍の400走路に生まれ変わった新走路は先行有利。トップクラスが集まるGⅢとなるとその傾向に変化が生じるだろうが、再スタートを切ったFⅠ、その後のFⅡを見る限り、逃げ切り、逃げ残りが多く見られた。地元選手によると「センター部分にクセがある。フワフワして伸びきれない」と指摘する。ペース先行が有効。捲りは3角までにハナに立つ早めの仕掛けか、遅めの捲り追い込みが決まっている印象だ。直線の伸びは内、中、外と平均的。
(スポーツニッポン新聞社)
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